2011-09-18(Sun)

聖霊の働き 2011年9月18日の礼拝メッセージ

聖霊の働き
中山弘隆牧師

 その後、わたしはすべての人にわが霊を注ぐ。あなたたちの息子や娘は預言し、老人は夢を見、若者は幻を見る。その日、わたしは奴隷となっている男女にもわが霊を注ぐ。
ヨエル書3章1~2節


 そこで、ペトロは口を開きこう言った。「神は人を分け隔てなさらないことが、よく分かりました。どんな国の人でも、神を畏れて正しいことを行う人は、神に受け入れられるのです。神がイエス・キリストによって――この方こそ、すべての人の主です――平和を告げ知らせて、イスラエルの子らに送ってくださった御言葉を、あなたがたはご存じでしょう。ヨハネが洗礼を宣べ伝えた後に、ガリラヤから始まってユダヤ全土に起きた出来事です。つまり、ナザレのイエスのことです。神は、聖霊と力によってこの方を油注がれた者となさいました。イエスは、方々を巡り歩いて人々を助け、悪魔に苦しめられている人たちをすべていやされたのですが、それは、神が御一緒だったからです。わたしたちは、イエスがユダヤ人の住む地方、特にエルサレムでなさったことすべての証人です。人々はイエスを木にかけて殺してしまいましたが、神はこのイエスを三日目に復活させ、人々の前に現してくださいました。しかし、それは民全体に対してではなく、前もって神に選ばれた証人、つまり、イエスが死者の中から復活した後、御一緒に食事をしたわたしたちに対してです。そしてイエスは、御自分が生きている者と死んだ者との審判者として神から定められた者であることを、民に宣べ伝え、力強く証しするようにと、わたしたちにお命じになりました。また預言者も皆、イエスについて、この方を信じる者はだれでもその名によって罪の赦しが受けられる、と証ししています。」
使徒言行録10章34~43節



(1)真の神を拝む
 主イエスは、「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさい。」(マルコ12:17)と言われました。これは税金を皇帝に収めるべきであり、神は神として礼拝しなければならないという意味です。これこそ、人間が生きていく為に、最も大切なことであります。
 それでは、神を神として礼拝するには、どうすれば可能なのでしょうか。これこそ、神の言葉である福音が語られ、信じられるところで、人々は神を礼拝することができるのです。
なぜならば、そこにおいて、人間の救いをもって、唯一の真の神が人間と出会われるからです。キリスト教の礼拝は、ペンテコステ以来このようにして行われています。

(2)ペトロの説教とその結果
 本日の聖書の箇所では、キリストの使徒たちが語りました一番初期の福音の内容が記されています。ここではペトロの語った説教となっていますが、実はその内容が使徒たちの間で共有されており、使徒たちは一つの福音を語っていたのです。
 ここで非常に大切な事は、福音の内容があくまで主イエス・キリストであるという点です。36~37節で、ペトロは異邦人でありながら神を敬うコルネリウスにこのように言っています。

 「神がイエス・キリストによって……この方こそ、すべての人の主です。……平和を告げ知らせて、イスラエルの子らに送って下さった御言葉を、あなたがたはご存知でしょう。ヨハネが洗礼を述べ伝えた後に、ガリラヤから始まってユダヤ全土に起きた出来事です。」
 ここで「平和を告げる」とは、戦争のないことではなく、神の平和が与えられるということで、神が与えられた究極的な救いという意味です。
そして「イスラエルの子らに送って下さった御言葉」とは神の救いを待望していたイスラエルの民に与えられた「福音」という意味です。従いまして、この完全な救いとは、主イエスに関する「出来事」です。つまり、この出来事は、単なる歴史的な事件ではありません。その特別の歴史的事件を通して実行された神の救いの行為と判決なのです。
38節で、このことを言い換えて、次のように説明しています。
「つまり、ナザレのイエスのことです。」

 次に、38節から39節で、ガリラヤにおけるイエスの教えと行動を簡潔に語っています。この点は福音を構成する重要な要素です。
 「神は、聖霊と力によってこの方を油注がれた者とされました。」
 ここで、「油注がれた者」とは聖書で特別の意味を持っており、「メシア」すなわち「救い主」で、神がイエスを救い主に任命されたという意味です。
この出来事は、イエスが洗礼者ヨハネからヨルダン川で受洗されたとき、天から聖霊が鳩のようにイエスの上に降り、イエスに向かって「あなたはわたしの愛する子、わたしの心に適う者である」という父なる神の声が天から聞こえてきたことであります。

 次ぎに、イエスは神の国がイエスの活動と共に今や開始していることを語り、神の国に生きる信仰者の生き方を教えられました。
そして、神の権威をもって、罪人に罪の赦しを与え、病に苦しむ人たちを癒されました。このイエスの活動を弟子たちはイエスと寝食を共にして自分の目で確かめましたので、自分たちはこれらのことの証人であると言っています。
 「わたしたちは、イエスがユダヤ人の住む地方、特にエルサレムでなさったすべてのことの証人です。」(10:39)
 次ぎに、福音の不可欠の要素として、イエスの十字架の死と復活について語っています。
 「人々はこのイエスを木に掛けて殺してしまいましたが、神はこのイエスを、三日目に復活させ、人々の前に現してくださいました。しかし、それは民全体に対してではなく、前もって神に選ばれた証人、つまり、イエスが死者の中から復活した後、ご一緒に食事をしたわたしたちに対してです。そしてイエスは、御自分が生きている者と死んだ者との審判者として神から定められた者であることを、民に宣べ伝え、力強く証しするようにと、わたしたちにお命じになりました。」(10:39~42)

 これは、イエスの十字架の死が、単なる人間の死でなく、イエスの復活が単なる幻想でなく、イエスの死も復活も両方とも神の事実であり、神ご自身の行為であることを語っています。
実に福音の内容は、神は御子である主イエス・キリストにおいて、人間の罪を裁き、その裁きを通して、神の御心に適う新しい人間を創造されたという神の救いの事実の宣言なのです。
 使徒たちはそれを神の事実として体験し、確信しました。さらにその際に、彼らが語るべき福音の内容を神から啓示されたのです。ここでは使徒たちが復活の主イエスご自身から語るべき福音を命じられた、と言っています。

 次に、主イエスによって神が与えられる救いは究極的な救いであるので、これによって旧約の預言が成就したと言っています。
 「また預言者も皆、イエスについて、この方を信じる者はだれでもその名によって罪の赦しが与えられる、と証しています」(10:43)
 彼らはこのように旧約聖書の預言を引用し、その預言が今や主イエスの御名によって、言い換えれば、復活して生きて働いておられる主イエスによって、成就したと宣言しています。
これは、主イエスの十字架の死によって、人間の罪が贖われたことによる罪の赦しと新生、すなわち主イエスによる新しい命に生きることです。
最後に、使徒的な説教はみな主イエスを自分の救い主として信じるようにという勧めをもって終わっています。

 「ペトロがこれらのことをなおも話し続けていると、御言葉を聞いている一同の上に聖霊が降った。割礼を受けている信者で、ペトロと一緒に来た人は皆、聖霊の賜物が異邦人の上にも注がれるのを見て、大いに驚いた。異邦人が異言を話し、また神を賛美しているのを、聞いたからである。」(10:44~46)
 これはどういうことでしょうか。ペテロの語る福音を聞いた人たちが、その時その場で生ける真の神と出会ったということです。
天地の創造者であり、人間の歴史の支配者である無限の力を持った生ける神が、恵み深い神として人間と直面されたのです。そして福音において語られている救い主イエス・キリストの性質と全く同じ性質を持つ神としてご自分を現してくださったのです。そこにおいて、人間に向かって子よと呼びかけ、わたしの言葉を実行して、生きよと仰せになったのです。
同時に福音において語られている主イエス・キリストが彼らと共にいますことが、彼らの心に鮮明に刻み込まれたからです。

この喜びと感謝と畏敬の念が沸き起こって、彼らは神を賛美したのです。その賛美は、神に対する告白と祈りであります。自分たちと出会っておられるこの方を神として信じることを告白し、自分たちが神の命令を実行して、御前に生きることができるようにしてください、という祈りです。
異言による神への賛美は、そのような真実な思いが込めていたので、聖霊によるものであったと言えるのです。異言が何であったかといえば、音節が不明瞭で、他の人からは理解できない奇妙な声なのです。従って、使徒たちは十の異言を語るよりも、一つの預言を語る方が、教会の益になると言っています。
 
聖霊は父・子・聖霊の三位一体の神ですから、聖霊ご自身は人間の目には見えません。しかし、聖霊の働きは人間に主イエスに対する信仰を与え、救いを与えてくださった神に限りなき賛美を献げさせます。その聖霊の働きを聖書は聖霊の賜物と言っています。そして聖霊の賜物は種々あるのですが、異言もその一つです。初代教会のクリスチャンたちは、旧約聖書の聖霊体験に近い現象である異言に注目しました。しかし、聖霊の働きは異言よりもむしろ彼らが主イエスの救いを受けて、神を賛美したことが重要なのです。

 以上のように明らかなことは、教会と教会に連なる信仰者に聖霊が与えられたのは、使徒的な説教を通してであるということです。主イエスの福音を語る説教を通して、聖霊が与えられるのです。しかも福音に生かされ、主イエスの生ける働きを受けている者が、語ることが必要なのです。

(3)聖霊の働き
次に聖霊の働きの大切な点を幾つか挙げることができます。
 第一に、聖霊は主イエスにおいて示された神の愛をわたしたちに知らせ、神の愛をわたしたちの心に注ぎ込みます。
主イエス・キリストの十字架の死と復活において、主イエスはわたしたちの罪とその結果である死を、わたしたちに代わって担い、主イエスのものとされました。
そのことにより、主イエスご自身の義と命をわたしたちに与えられました。その結果、わたしたちは主イエスにおいて、神の御前に義なる者となっています。
この救いは正に主イエスがご自身を犠牲にして、わたしたちにご自身を与えてくださったことに他ありません。ここにわたしたちに対する神の愛が示されています。
そして主イエスの事実が直接わたしたちに向かって、神の愛を語るようにさせるのが、聖霊の働きなのです。
そこでは神は主イエスの生涯と十字架の死と復活の事実の言葉をもって、わたしたちに向かって、「わたしはあなたを愛している。それゆえ恐れるな。わたしはあなたと共にいる。」と仰せになっているのです。
神の愛について語るためには、これ以外のことを語る必要は全くありません。なぜならば、このことがすべてを語っているからです。
 このようにして、聖霊は神の愛をわたしたちの心に注がれるのです。そのことによって、わたしたちも神の愛をもって、隣人を愛することができるのです。

 第二に、実に復活の主イエスは、聖霊を通して、わたしたちの中に臨在され、永遠にわたしたちの中に働かれます。このことがわたしたちに与えられた究極的救いです。
実に、わたしたちの内に臨在される主イエスによって、わたしたちが神を信頼し、御言葉を聞き、考え、祈り、決心し、忍耐と希望をもって行動するようになるのです。
そしてわたしたちの態度、生き方のすべての面で、主イエスの性質を映し出す者へと変えられて行くのです。

 第三に、わたしたちが主イエスの生命を受けて、神の御心を知り、神の御心を実行できるためには、神に祈り求めることが必要なのですが、わたしたちが祈り求めるということは、聖霊の働きなのです。
 
 第四に、聖霊の働きは、わたしたちをイエス・キリストの証人にします。そのとき、わたしたちは隣人に対してキリストの福音を語る者となります。カール・バルトは神の子たちの生活という主題の中で、次のように言っています。
 「神の啓示は、聖霊によって信じられ、認識されるところでは、次のような新しい人間を創り出す。すなわち、そのような人は、イエス・キリストにおいて神を求めないでは、最早存在することは出来ないし、また神の啓示を受けたことを証しするのを止めることもできないであろう。」
 実際、主イエス・キリストの救いを受けていることを、聖霊によって確信しているならば、その人は神の救いと主イエスの事実を証ししないでは最早おれないのです。それが主イエスの命に生かされる神の子たちの生き方である、とバルトは言っています。
 使徒的な福音とは、このような信仰共同体である教会を造り出すのです。



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