2017-06-04(Sun)

真理の聖霊 2017年6月4日ペンテコステ礼拝メッセージ

真理の聖霊
中山弘隆牧師

 わたしの証人はあなたたち/わたしが選んだわたしの僕だ、と主は言われる。あなたたちはわたしを知り、信じ/理解するであろう/わたしこそ主、わたしの前に神は造られず/わたしの後にも存在しないことを。わたし、わたしが主である。わたしのほかに救い主はない。わたしはあらかじめ告げ、そして救いを与え/あなたたちに、ほかに神はないことを知らせた。あなたたちがわたしの証人である、と/主は言われる。わたしは神/今より後も、わたしこそ主。わたしの手から救い出せる者はない。わたしが事を起こせば、誰が元に戻しえようか。あなたたちを贖う方、イスラエルの聖なる神/主はこう言われる。わたしは、あなたたちのために/バビロンに人を遣わして、かんぬきをすべて外し/カルデア人を歓楽の船から引き下ろす。わたしは主、あなたたちの聖なる神/イスラエルの創造主、あなたたちの王。
イザヤ書43章10~15節


 だから、イスラエルの全家は、はっきり知らなくてはなりません。あなたがたが十字架につけて殺したイエスを、神は主とし、またメシアとなさったのです。」人々はこれを聞いて大いに心を打たれ、ペトロとほかの使徒たちに、「兄弟たち、わたしたちはどうしたらよいのですか」と言った。すると、ペトロは彼らに言った。「悔い改めなさい。めいめい、イエス・キリストの名によって洗礼を受け、罪を赦していただきなさい。そうすれば、賜物として聖霊を受けます。この約束は、あなたがたにも、あなたがたの子供にも、遠くにいるすべての人にも、つまり、わたしたちの神である主が招いてくださる者ならだれにでも、与えられているものなのです。」ペトロは、このほかにもいろいろ話をして、力強く証しをし、「邪悪なこの時代から救われなさい」と勧めていた。ペトロの言葉を受け入れた人々は洗礼を受け、その日に三千人ほどが仲間に加わった。彼らは、使徒の教え、相互の交わり、パンを裂くこと、祈ることに熱心であった。
使徒言行録2章36~42節
  

(1)ペンテコステの日の出来事
 本日、わたしたちは聖霊降臨日(ペンテコステ)の礼拝を守っています。ペンテコステとはキリストの使徒たちが、聖霊に満たされて、キリストの救いを宣教した最初の日です。
 ところで、旧約聖書では、三つの祭りの日が決められていました。それは「過ぎ越しの祭り」、「七週の祭り」、「仮庵の祭り」です。それらの日が近づくと神殿で礼拝をするために、巡礼者が各地からエルサレムに集まって来ました。
 特に、過ぎ越しの祭りは一番大切な祭りで、ちょうどその日はキリストが十字架の死による人類の罪の贖いを全うし、三日目に死人の中から復活された日でした。それゆえ、キリスト教ではその日をイースターと呼び、それ以来一番大切な礼拝の日となりました。
 次に旧約聖書では過ぎ越しの祭りから数えて50日目に当たる七週の祭りがありました。それは小麦の収穫が始まる日の祭りでした。キリスト教ではイースターの日から数えて、50日目に相当しますので、その日をペンテコステと呼んでいます。ペンテコステとは50日目という意味です。正に、その日が聖霊降臨日なのです。
 ちょうど七週の祭りのためエルサレムに集まっていた多くの巡礼者たちは、使徒言行録2章に記されていますように、使徒たちがキリストの救いを聖霊の力をもって宣教しているのを聞いたのです。
 使徒たちを代表して、ペトロは説教しています。そこで先ず聖霊降臨の事実を指摘しました。続いてペトロは神の御子イエス・キリストの生涯と特に十字架の死と復活、そしてキリストが神の右の座に着かれたことにより、神の救いが達成されたと語りました。その結果、聖霊が教会に与えられたと告げました。使徒言行録2:32~33で次のように言っています。
 「神はこのイエスを復活させられたのです。わたしたちは皆、そのことの証人です。それで、イエスは神の右に上げられ、約束された聖霊を御父から受けて注いでくださいました。あなたがたは、今そのことを見聞きしているのです。」
 さらに2:36で、神は十字架の死と復活によって人類の救いを実現された御子イエスを「主」とし、同時に人類の「救い主」とされたと宣言しました。
 「だから、イスラエルの全家は、はっきり知らなくてはなりません。あなたがたが十字架につけて殺したイエスを、神は主(万物の主権者)とし、またメシア(救い主・キリスト)となさったのです。」
 ここで非常に重大なことは、ペトロが先ず神はイエスを主とされたと言っている点です。つまり、イエスが父なる神の主権を委任されて、主となられた結果、イエスはメシアに任命されたと言っている点です。
 それゆえ、ペトロは福音の説教の締めくくりとして、悔い改めて、キリストを信じ、洗礼を受けなさいと勧めています。
 「悔い改めなさい。めいめい、イエス・キリストの名によって洗礼を受け、罪を赦していただきなさい。そうすれば賜物として聖霊を受けます。この約束は、あなたがたにも、あなたがたの子供にも、遠くにいるすべての人にも、つまり、わたしたちの神である主が招いてくださる者ならだれにでも、与えられているものなのです。」(2:38~39)
 この時、福音の言葉を信じ、洗礼を受けて、約3千人の人たちがキリスト教会に加わりました。これがペンテコステの日に起こった出来事です。ここで、「わたしたちの神である主が招いてくださる者なら」とありますので、この出来事の真相は、救い主である主イエス・キリストご自身が使徒たちの語る福音の宣教を通して、信じる者をご自身の民として招かれたのであると言えます。さらに主は聖霊を与え、聖霊によって、主を信じる信仰を与えられるのです。
 ところで、ペンテコステの日は小麦の収穫の始まりでありますが、救い主であるキリストがご自身の地上の生涯と十字架の死と、復活により、実現された救いの「収穫」が開始した日なのです。
 つまり、地上の生涯と十字架の死による贖いから成り立っている主イエスの働きの収穫が、聖霊によって開始したのです。

(2)使徒たちと使徒的教会
 次に、御子イエス・キリストが選ばれた使徒たちの使命について、聖書はこのように語っています。先ずマルコによる福音書3:13~16に記されています。
 「イエスが山に登って、これと思う人々を呼び寄せられると、彼らはそばに集まって来た。そこで、十二人を任命し、使徒と名付けられた。彼らを自分のそばに置くため、また、派遣して宣教させ、悪霊を追い出す権能を持たせるためであった。」
 使徒と言う名称は、「遣わされた者」という意味です。何の目的で遣わされるかと言えば、それは彼らが御子イエスの生涯において実現した神の救いを証言するためです。さらに彼らの証言を通して、復活の主イエスご自身が使徒たちの証言を聴く人たちと出会い、聞く者たちの心に信仰を与え、救いを与えられるためです。
 従いまして、使徒たちに与えられた使命は、御子イエスの傍に絶えずいて、イエスと行動を共にし、イエスの言葉と行いをしっかりと記憶すること、神がイエスを通して働かれること、さらにイエスが誰であるかを知ることでした。
 なぜならば、人類に救いを与える神の行為は、御子が人間となって、この世界に派遣され、父なる神の意志に徹底的に従い、十字架の死によって人類の罪を贖うことであったからです。この神の救いの行為は御子イエスの地上における一回限りの出来事であります。 
 それゆえ、一回限りの出来事が、神の言葉として語られなければならないのです。新約聖書の内容は、使徒たちが御子イエスの証人として語った言葉が中心的部分を占めています。もちろん他の新約聖書の内容は徒たちの働きによって形成された使徒的教会の証言が新約聖書の内容となっています。ともかく新約聖書が神の言葉として完結している理由は使徒たちの証言と使徒的な教会の証言が完結しているからです。
 他方、福音書を読めばよく分かりますが、御子イエスに選ばれた使徒たちや他の信仰者たちは、イエスが語り、教え、行動されたその深い意味、そしてイエスと共に神が働かれたことの本当の意味をまだ十分には理解していませんでした。
 最後にそれが分かったのは、御子イエスが復活されたときです。もっと正確に言えば、復活のイエスが天に上り、神の右に坐せられたとき、聖霊が使徒たちに与えられ、聖霊によって主イエスの救いの意味を理解することができたのです。
 ところで、聖霊の所有者は先ず、父なる神と御子が人間となったイエスです。イエスが神の権威をもって罪の赦しを語られたとき、病気に悩んでいた人の罪が赦され、同時に長年の病気が癒されました。そのことによってイエスが聖霊の所有者であることが示されました。
 このようにイエスと聖霊の働きは不可分離に結びついています。最後の晩餐のとき、弟子たちと話された御子イエスの教えはこの点を明らかにしています。

(3)聖霊の働きと教会
 それはヨハネによる福音書16章に記されているイエスの談話として伝えられています。ヨハネによる福音書16章12~13節で御子イエスは次のように仰せられました。
 「言っておきたいことは、まだたくさんあるが、今、あなたがたには理解できない。しかし、その方、すなわち、真理の霊が来ると、あなたがたを導いて、真理をことごとく悟らせる。」
 ここで御子イエスは、聖霊を「弁護者」または「真理の霊」と呼び、ご自身が復活し、神の右の座に着かれたとき、父のもとから聖霊を使徒たちに、そして教会に送る、と仰せられました。
 弁護者とは「助ける者」、「励ます者」という意味です。また聖霊は「真理の霊」と呼ばれています。その意味は神が主イエスにおいて実現された「救いの真理」を聖霊が知らせるからです。
 ここで御子イエスは、地上でのご自身の思いと行動の本当の意味を聖霊が使徒たちに知らせられると言われました。そして御子イエスを通して父なる神が達成された救いが何であるかの認識を、聖霊が与えられると言われました。
 さらに16章14節で、「その方はわたしに栄光を与える。わたしのものを受けて、あなたがたに告げるからである。」と仰せられました。 
 このイエスの言葉から、聖霊は御子イエスが救いについてやり残された仕事を受け継いで、救いを完成させられる第二の救い主であるというのでは決してないことが分かります。そうではなく、聖霊は復活の主イエスの協力者なのです。
 なぜならば、復活の主イエスは今や神として、すべての所におられ、人間の中に臨在し、信じる者を救いの完成する永遠の国へ導いておられるのです。主イエスは神として働いておられるので、人間の目には見えません。実にその働きを認識させる方こそ聖霊です。
 さらに主イエスの命令は単なる命令ではなく、命令を実行する生命を伴った命令です。従って、主イエスの命が聖霊によって主イエスに従う者の中に注がれるのです。わたしたちが主イエスを信じ、主の命令を実行し、主に従っていくためには、聖霊が主イエスに対する信仰をわたしたちに与え、聖霊が主イエスの命を与え、聖霊が主イエスにおいて現された神の愛をわたしたちの心に注がれるので、わたしたちは神の愛を実行することができるのです。
 それゆえ、聖霊はわたしたち人間が主イエスの救いと働きを信じて、主イエスに応答させるようにさせて下さいます。先ず十字架について人類の救いの為に死に、三日目に復活して、父なる神の主権を委任された主イエスを信じることは、人間の力によるのではなく、専ら聖霊の働きによるのです。従って、信仰と愛の業と希望は聖霊の働きなのです。
 使徒パウロは原始キリス教会に与えられた聖霊の賜物の中で、信仰と愛と希望を永続的な賜物と言っています。コリントの信徒への手紙一、13章13で、「信仰と希望と愛、この三つは、いつまでも残る。その中で最も大いなるものは、愛である。」と言っています。
 それにしても、信仰・希望・愛はクリスチャンに与えられた単なる賜物、すなわち霊的カリスマではありません。それこそ、信仰・希望・愛はクリスチャンに与えられている「新しい人間」の生き方なのです。
 それゆえ、聖霊は主イエス・キリストの救い、支配、恵みに対して、人間が応答するようにわたしたちを促す方です。聖霊による信仰と愛と希望はわたしたちが主イエスの救いに応答することです。従って、クリスチャンは自ら喜んで主イエスを信じ、自ら進んで主イエスに従い、主イエスの救いの完成の希望を最後まで堅持するのです。新しい人間とは聖霊が与えられている人間です。
 従いまして、新しい人間の全体像は人智を超えています。つまり主イエスの中に保存され、隠されています。その全体像は主イエス・キリストが再臨されるとき、わたしたちに与えられている聖霊によって、わたしたちが復活するとき、現れるのです。
 このことを考えますと、クリスチャンは聖霊が与えられているので、地上の生活をしながら、主イエス・キリストによって創造された新しい人間の生き方を日々体験している者たちです。
 他方、主イエスを信じない人達は未だ聖霊が与えられていないので、新しい人間の生き方を未だ体験していません。
 それにしても、主イエスの十字架の贖いは例外なくすべての人に与えられています。それゆえ主イエスの再臨の日に聖霊がすべての人に与えられ、万人が共に復活し、神の御前で永遠に生きるのです。
 以上のことを考えますと、聖霊は主イエスと同じ性質、同じ思いを持った方です。聖霊はわたしたちを促し、応答させ、主イエスの救いをわたしたちの中に働かせる務めを担っておられます。
 そのような方として、聖霊は父なる神と主イエス・キリストから出て、わたしたち人間のもとに遣わされているのです。



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