2017-01-01(Sun)

大河の流れのように 2017年1月1日の礼拝メッセージ

大河の流れのように
中山弘隆牧師

 神はわたしたちの避けどころ、わたしたちの砦。苦難のとき、必ずそこにいまして助けてくださる。わたしたちは決して恐れない/地が姿を変え/山々が揺らいで海の中に移るとも/海の水が騒ぎ、沸き返り/その高ぶるさまに山々が震えるとも。大河とその流れは、神の都に喜びを与える/いと高き神のいます聖所に。神はその中にいまし、都は揺らぐことがない。夜明けとともに、神は助けをお与えになる。すべての民は騒ぎ、国々は揺らぐ。神が御声を出されると、地は溶け去る。万軍の主はわたしたちと共にいます。ヤコブの神はわたしたちの砦の塔。主の成し遂げられることを仰ぎ見よう。主はこの地を圧倒される。地の果てまで、戦いを断ち/弓を砕き槍を折り、盾を焼き払われる。「力を捨てよ、知れ/わたしは神。国々にあがめられ、この地であがめられる。」
詩編46篇2~11節


 祭りが最も盛大に祝われる終わりの日に、イエスは立ち上がって大声で言われた。「渇いている人はだれでも、わたしのところに来て飲みなさい。わたしを信じる者は、聖書に書いてあるとおり、その人の内から生きた水が川となって流れ出るようになる。」イエスは、御自分を信じる人々が受けようとしている“霊”について言われたのである。イエスはまだ栄光を受けておられなかったので、“霊”がまだ降っていなかったからである。
ヨハネによる福音書7章37~39節


(1)共にいます神
 わたしたちは2017年の新しい年を迎えました。本日の礼拝において、共に神の御名を賛美し、主イエスにおいて与えられる恵み溢れる人生を今年も一歩一歩と前進することを切に願っています。
 詩編46編は実に聖書の信仰の神髄であり、預言者的な精神の充満した非常に霊的な賛美の歌です。宗教改革者ルターは福音的な信仰を見事に表明した多くの讃美歌を作って、宗教改革に勇気を与えました。讃美歌21では377番ですが、一編の267番は有名です。
 「神はわが櫓(やぐら)、わが強き盾、 苦しめる時の近き助けぞ。おのが力 おのが知恵を 頼みとせる 陰府(よみ)の長(おさ)も など恐るべき。」
 という歌詞は、「神がわたしたちの味方であるならば、だれがわたしたちに敵対することができようか」(ローマ8:31)という使徒パウロの福音的確信とともに、詩編46編から強い感化を受けています。
 ルターは宗教改革を起す前に、福音による魂の救いを経験したのですが、その前の段階で詩編の研究をしているときに、霊的な強い影響を受けました。そして次第に福音の光の射す方向に導かれてきたのです。その体験からルターは詩編を聖書の信仰を言い表しているものとして重要視しています。
 このように詩編46編2節の言葉、「神はわたしたちの避けどころ、わたしたちの砦。苦難のとき、必ずそこにいまして助けてくださる。」という聖句は、信仰者が依って立つべき信仰生活の土台であります。
 信仰生活とは、主イエスに出会って、主イエスの内にすべての人間の救いと自分の歩むべき人生が備えられていることを知り、主イエスを信じて、主イエスに従っていく人生です。主イエスはわたしたちと出会い、わたしに従って来なさいと呼び掛けて下さいます。「わたしの後に従いたい者は、自分を捨て、自分の十字架を背負って、わたしに従いなさい。自分の命を救いたいと思う者は、それを失うが、わたしのため、また福音のために命を失う者は、それを救うのである。」(マルコ8:34~35)
 この御言葉は誰でも自分の力で人生を歩み、自己実現を達成しようと努力していますが、それは本当の意味での自己実現にはならないのです。なぜならば、神の御前に生きる本当の自分は、主イエスの十字架の死による罪からの贖いと復活された主イエスの中に既に与えられているからです。従って、主イエスの呼びかけ応答して、主イエスに従うことによって実現するのです。それゆえ、わたしに従って来なさいと言う主イエスの命令は、応答することによって、誰でも神の御前に生きる新しい自分と命と自由を得るという主イエスの約束なのです。
 しかし主イエスに従う信仰生活は、決して平穏無事な人生ではありませんが、どのような困難と試練とに出会っても、無事そこを通り過ぎることができるのです。
 神は恵み深く真実な方であります。それゆえどんな困難な時にもわたしたちを決して見放されることはありません。わたしたちを試練に遭わせられても、そこから逃れる道を備えてくださるのです。
 「神は真実な方です。--試練と共に、それに耐えるよう、逃れる道をも備えていてくださいます。」(コリント一、10:13)

(2)神の主権
 次にこの詩編は三つの部分から構成されています。
 第一の部分は2節から4節までです。ここでは自然界における生成と消滅の過程において働く神の無限の力を賛美しています。
 第二の部分は5節から8節までです。ここでは歴史の中に働く神の支配と導きを賛美しています。
 第三の部分は9節から11節までです。ここでは歴史の終末において、永遠の神の国が実現することを告白しています。

 「わたしは決して恐れない。地が姿を変え、山々が揺らいで海の中に移るとも 海の水が騒ぎ、沸き返り、その高ぶるさまに山々がふるえるとも。」(46:2~4)
 これは巨大地震と大津波による天変地異が起こってもわたしたちは動揺しない。神がこれらすべての事件の中でも唯一の支配者であり、神は御自身の目的を実現されるとき、長い目から見れば人間社会の幸いのためであると確信できるのです。
 勿論、災害大国である日本も2011年3月には、東北沖の巨大地震と大津波により、実に多くの人命と生活基盤が一瞬のうちに奪われました。言葉では到底言い表せない大きな不幸を経験して、誰しも神様なぜでしょうか、という心の悲痛さを感じ、呻くのは当然です。
 しかし、どれほど信仰深い人であってもその理由を説明することはできません。その故はただ神様だけがご存じなのです。
 わたしたちの知り得ることは、神様は人間とご自身とを連帯化させ、人間の問題をご自身で担うため、尊い御子を十字架の死に渡されました、と言う神の事実です。このことによって人間に対する無限に深い愛を示された神が万物と万人の支配者であるというが、自分の人生に対する確信と希望を与えるのです。
 「大河とその流れは、神の都に喜びを与える。いと高き神がいます聖所に。神はその中にいまし、都は揺らぐことはない。夜明けとともに、神は助けをお与えになる。すべての民は騒ぎ、国々は揺らぐ。神が御声を出されると、地は溶け去る。」(46:5~7)
 旧約聖書では、神の都とは神殿のあるエルサレムの町を指していますが、新約聖書ではキリスト教会のことです。
 従って、霊的な生命の大河を神は流れさせてくださるので、教会は世界の歴史がどのような状況になっても、福音の伝道と神の支配による愛の業を前進させることができるという確信の表明です。
 実に、預言者エレミヤは神を「生ける水の源」と呼んでいます。「まことに、わが民は二つの悪を行なった。生ける水の源であるわたしを捨てて、無用の水ためを掘った。」と神は言われると預言しています(エレミヤ書2:12~13)

(3)主イエスの復活の生命
 本日の聖書の箇所でありますヨハネによる福音書7:37~38で主イエスはこのように仰せになりました。
 「渇いている人はだれでも、わたしのところに来て飲みなさい。わたしを信じる者は、聖書に書いてある通り、その人の内から生きた水が川となって流れ出るようになる。」
 これは主イエスご自身が、生命の泉となってこの地上に住む人間のただ中に来られたことを証する御言葉です。
 従って、主イエスを信じる信仰によって主イエスと結びつく人は、生命の豊かな供給を主イエスから受けるのです。
 その結果、主イエスの生命はクリスチャンの中から外に、他の人々に向かって溢れ出るほど豊かに流れるというのです。
 ヨハネによる福音書は主イエスの御言葉を解釈して、「これはイエスを信じる人々が受けようとしている“霊”(聖霊)について言われたのである。」(7:39)と言っています。
 主イエスを信じることにより、聖霊がわたしたちの心の中に与えられ、聖霊を通して神の愛が人間の心の中に注がれ、聖霊が主イエスの命をわたしたちの中に注ぐのです。
 これは何と言う厳粛な重大な事柄でしょうか。神からこのような大きな恵みが与えられているという霊的現実を、わたしたちが信仰によって理解し、わたしたちが主の命令を実行し、愛の業に励むことによって、その霊的現実を体験するのです。実に体験により、主イエスの恵みの支配がわたしたちを常に新しく生かすことを理解するのです。主イエスはわたしたちの命の泉であることを知り、喜びと感謝に満たされるのです。
 さらに、クリスチャンを通して外に向かって流れ出る主イエスの命の大河は、周囲の人々の中に希望と活力と英知を生み出します。主イエスは恵み深い支配者であると同時に、尽きることのない命の源です。これがクリスチャンの確信と賛美です。

(4)主イエスは歴史の支配者
 次に聖書の信仰は、神が恵み深い支配者であり、自然界と人類の歴史と永遠の世界を通して、ご自身の目的を実現される方であることを信じることです。ここに聖書の信仰の特徴があります。それは個人の生活、個人の心の問題をだけを取り上げるのでなく、一人の人間が生きるために必要な、すべての環境を取り上げ、人間のトータルな面で、神の恵み深い支配が人間を生かすと言う信仰です。
 具体的に言えば、クリスチャンは教会の礼拝から、家庭や職場や、学校や地域の仕事に遣わされて、そこで働きます。その生活も神の支配下にあります。プロテスタントの信仰理解では、「召命」ということはクリスチャンとして「職場で働く」ことを意味しています。
 歴史における神の支配を信じる聖書の信仰は、主イエスの支配は、教会と国家との二つの領域において働いていることを信じるのです。もちろん教会と国家とは別の領域でありますが、二つの円は同心円です。同心円の中心は神であり、主イエス・キリストです。このことを預言者たちは明らかにしています。
 「人よ。何が善であり、主が何を求めておられるかは、お前に告げられている。正義を行い、慈しみを愛し、へりくだって神と共に歩むこと、これである。」(ミカ6:8)
 この神の意志に人間が応答することによって、人類の歴史は神の御手によって新しく展開するのです。今日のグローバルな世界は物と人と資本の自由なる移動によって、国内総生産を成長させるという考えによって成り立っています。経済の成長が万人の生活を豊かにするという考えに捕らえられています。その結果、貧富の格差が増大し、社会の中に大きな亀裂が生じています。民主主義もその貧富の格差を是正する方法を持ち合わせていません。このままで新しい年を人類は迎えましたが、不確定な時代の幕開けとなりました。
 しかし、この人類の歴史の行き詰まりを解決する唯一の道は、預言者ミカが言うように、いつの時代にも、またいかなる政治体制や、経済機構に対しても、歴史の支配者である神の求められる正義と公平と愛と憐みを実行することによって開かれるのです。
 世界の平和は軍事力の増強によって維持されるのではありません。神の求められる正義と公平と愛と憐みを実行することによって、世界に通用する価値観を実行することによって、諸国家との共存が可能となります。勿論、そのことは容易な道ではありません。しかし、神は主イエスの恵み深い支配を通して、その道を切り開かれます。
 なぜならば、主イエスは世界の万民が生きる命の源であるからです。このことがわたしたちの最も確かな希望の根拠です。
 主イエスの命が正義と公平と愛と憐みの実行を可能とするため、教会の中に、個々の人間の中に、社会と国家の中に豊かに流れ出るからであります。神の愛と主イエスの命は無限に大きいのです。わたしたちは新年を迎えるこの時、このことを信じましょう。そして「大河とその流れは、神の都に喜びを与える。--神はその中にいまし、都は揺らぐことがない。--夜明けとともに、神は助けをお与えになる。」(詩編46:5~6)と賛美しましょう。



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