2016-05-15(Sun)

主イエスと聖霊 2016年5月15日ペンテコステ礼拝メッセージ

主イエスと聖霊
中山弘隆牧師

 わたしの証人はあなたたち/わたしが選んだわたしの僕だ、と主は言われる。あなたたちはわたしを知り、信じ/理解するであろう/わたしこそ主、わたしの前に神は造られず/わたしの後にも存在しないことを。わたし、わたしが主である。わたしのほかに救い主はない。わたしはあらかじめ告げ、そして救いを与え/あなたたちに、ほかに神はないことを知らせた。あなたたちがわたしの証人である、と/主は言われる。わたしは神/今より後も、わたしこそ主。わたしの手から救い出せる者はない。わたしが事を起こせば、誰が元に戻しえようか。あなたたちを贖う方、イスラエルの聖なる神/主はこう言われる。わたしは、あなたたちのために/バビロンに人を遣わして、かんぬきをすべて外し/カルデア人を歓楽の船から引き下ろす。わたしは主、あなたたちの聖なる神/イスラエルの創造主、あなたたちの王。
イザヤ書43章10~15節


 だから、イスラエルの全家は、はっきり知らなくてはなりません。あなたがたが十字架につけて殺したイエスを、神は主とし、またメシアとなさったのです。」人々はこれを聞いて大いに心を打たれ、ペトロとほかの使徒たちに、「兄弟たち、わたしたちはどうしたらよいのですか」と言った。すると、ペトロは彼らに言った。「悔い改めなさい。めいめい、イエス・キリストの名によって洗礼を受け、罪を赦していただきなさい。そうすれば、賜物として聖霊を受けます。この約束は、あなたがたにも、あなたがたの子供にも、遠くにいるすべての人にも、つまり、わたしたちの神である主が招いてくださる者ならだれにでも、与えられているものなのです。」ペトロは、このほかにもいろいろ話をして、力強く証しをし、「邪悪なこの時代から救われなさい」と勧めていた。ペトロの言葉を受け入れた人々は洗礼を受け、その日に三千人ほどが仲間に加わった。彼らは、使徒の教え、相互の交わり、パンを裂くこと、祈ることに熱心であった。
使徒言行録2章36~42節 
 

(1)ペンテコステの日の出来事
 本日、わたしたちは聖霊降臨日(ペンテコステ)の礼拝を守っています。ペンテコステとはキリストの使徒たちが、聖霊に満たされて、キリストの救いを宣教した最初の日です。
 ところで、旧約聖書では、三つの祭りの日が決められていました。それは「過ぎ越しの祭り」、「七週の祭り」、「仮庵の祭り」です。それらの日が近づくと神殿で礼拝をするために、巡礼者が各地からエルサレムに集まって来ました。
 特に、過ぎ越しの祭りは一番大切な祭りで、ちょうどその日はキリストが十字架の死による人類の罪の贖いを全うし、三日目に死人の中から復活された日でした。それゆえ、キリスト教ではその日をイースターと呼び、それ以来一番大切な礼拝の日となりました。
 次に旧約聖書では過ぎ越しの祭りから数えて50日目に当たる七週の祭りがありました。それは小麦の収穫が始まる日の祭りでした。キリスト教ではイースターの日から数えて、50日目に相当しますので、その日をペンテコステと呼んでいます。ペンテコステとは50日目という意味です。正に、その日が聖霊降臨日なのです。
 このように、ペンテコステの日に聖霊が降臨しましたので、ちょうど七週の祭りのためエルサレムに集まっていた多くの巡礼者たちは、使徒たちがキリストの救いを聖霊の力をもって宣教しているのに出会いました。その様子が使徒言行録2章に記されています。
 使徒たちを代表して、ペトロが説教していますが、彼はまず聖霊の降臨の事実を指摘しました。
 続いて、ペトロは神の救いが神の御子イエス・キリストの生涯と特に十字架の死と復活、そしてキリストが神の右の座に着かれたことにより、達成されたことを語りました。そしてキリストによる人類の救いの達成の結果、聖霊が教会に与えられたと告げました。
 使徒言行録2:32~33で次にように言っています。
 「神はこのイエスを復活させられたのです。わたしたちは皆、そのことの証人です。それで、イエスは神の右に上げられ、約束された聖霊を御父から受けて注いでくださいました。あなたがたは、今そのことを見聞きしているのです。」
 さらに2:36で、神は十字架の死と復活によって人類の救いを実現された御子イエスを主とし、同時に人類の「救い主」とされたと宣言しました。
 「だから、イスラエルの全家は、はっきり知らなくてはなりません。あなたがたが十字架につけて殺したイエスを、神は主(万物の主権者)とし、またメシア(救い主・キリスト)となさったのです。」
 そして、最後に悔い改めて、キリストを信じ、洗礼を受け、教会に属するならば、キリストの救いに入れられ、聖霊が与えられると言って、キリストに対する信仰を促しています。
 「悔い改めなさい。めいめい、イエス・キリストの名によって洗礼を受け、罪を赦していただきなさい。そうすれば賜物として聖霊を受けます。この約束は、あなたがたにも、あなたがたの子供にも、遠くにいるすべての人にも、つまり、わたしたちの神である主が招いてくださる者ならだれにでも、与えられているものなのです。」(2:38~39)
 この福音の言葉を信じ、洗礼を受けて、約3千人の人たちがキリスト教会に加わりました。これがペンテコステの日に起こった出来事です。
 ここで、「わたしたちの神である主が招いてくださる者なら」とありますので、この出来事の真相は、救い主である主イエス・キリストご自身が使徒たちの語る福音の宣教を通して、信じる者をご自身の民として招かれたことと言えます。
 言葉を変えて言えば、ペンテコステの日は小麦の収穫の始まりでありますが、救い主であるキリストがご自身の地上の生涯と十字架の死と、復活と天に上げられたことにより、実現された「救いの実りの収穫」が開始した日なのです。主の招きは聖霊を与えることによって行われます。

(2)使徒と使徒的教会
 次に、御子イエス・キリストが選ばれた使徒たちの使命について、聖書はこのように語っています。先ずマルコによる福音書3:13~16に記されています。
 「イエスが山に登って、これと思う人々を呼び寄せられると、彼らはそばに集まって来た。そこで、十二人を任命し、使徒と名付けられた。彼らを自分のそばに置くため、また、派遣して宣教させ、悪霊を追い出す権能を持たせるためであった。」
 使徒と言う名称は、「遣わされた者」という意味です。何の目的で遣わされるかと言えば、それは彼らが御子イエスの生涯において実現した神の救いを証言するためです。さらに彼らの証言を通して、復活の主イエスご自身が使徒たちの証言を聴く人たちと出会い、その場に働き、神の救いを与えられるためです。
 従いまして、使徒たちに与えられた使命は、御子イエスのそばに絶えずいて、イエスと行動を共にし、イエスの言葉と行いをしっかりと記憶すること、神がイエスを通して働かれること、さらにイエスが誰であるかを知ることでした。
 なぜならば、人類に救いを与える神の行為は、神の御子が人間となって、この世界に派遣され、父なる神の意志に徹底的に従い、十字架の死によって人類の罪を贖うことであったからです。
 この神の救いの行為は御子イエスの地上における一回限りの出来事であります。それゆえ、神の言葉としての新約聖書の内容は、使徒たちが御子イエスの証人として語った言葉が中心的な部分を占めています。
 その他の新約聖書の内容も、使徒たちの働きと決して無関係ではありません。それは使徒たちの働きによって形成された使徒的な教会の証言が新約聖書の内容となっているからです。ともかく新約聖書が神の言葉として完結している理由は使徒たちの証言が完結しているからです。
 他方、福音書を読めばよく分かりますが、神の御子イエスに選ばれた使徒たちや弟子たちは、イエスが語り、教え、行動されたその深い意味、そしてイエスと共に神が働かれたことの本当の意味をまだ十分には理解していませんでした。つまり、御子イエスの十字架の死の意味を使徒たちはまだ悟っていなかったのです。
 最後にそれが分かったのは、御子イエスが復活されたときです。もっと正確に言えば、復活のイエスが天に上り、神の右に坐せられたとき、聖霊が使徒たちに与えられたからです。
 ところで、聖霊の所有者は先ず、父なる神と神の御子が人間となったイエスです。イエスが神の権威をもって罪の赦しを語られたとき、病気に悩んでいた人の罪が赦され、その印として、長年の病気が癒されました。そのことによってイエスが聖霊の所有者であることが示されました。
 それを見た人たちはイエスが奇跡を行なわれたと言い、この人は一体どういう方であろうかと、イエスの人格の神秘を前にして非常に戸惑いました。しかし、それは決して奇跡ではなく、創造的な神の働きがイエスを通してその人を健康にしたのです。
 言い換えれば、イエスは聖霊の所有者ですからご自身の中にある命を聖霊によって病める人に注がれたのでその人は癒されました。
 このように、イエスの働きと聖霊の働きは不可分離に結びついています。この点は復活されたイエスの場合も同じです。最後の晩餐のとき弟子たちと話された御子イエスの教えはこの点を明らかにしています。

(3)聖霊の務め
 それはヨハネによる福音書16章に記されているイエスの談話として伝えられています。ヨハネによる福音書16章12~13節で御子イエスは次のように仰せられました。
 
 「言っておきたいことは、まだたくさんあるが、今、あなたがたには理解できない。しかし、その方、すなわち、真理の霊が来ると、あなたがたを導いて、真理をことごとく悟らせる。」
 ここで御子イエスは、聖霊を「弁護者」または「真理の霊」と呼び、ご自身が復活し、天に上げられ、神の右の座に着かれたとき、父のもとから聖霊を使徒たちに、そして教会に送る、と仰せられました。弁護者とは「助ける者」、「励ます者」という意味です。また聖霊は「真理の霊」と呼ばれています。その意味は神が主イエスにおいて実現された「救いの真理」を知らせる方と言う意味です。
 ここで御子イエスは、地上におけるご自身の思いと行動の本当の意味を聖霊が使徒たちに知らせられると言われました。そして御子イエスを通して父なる神が達成された救いが何であるかの認識を、聖霊が与えられると言われました。
 さらに、16章14節で、「その方はわたしに栄光を与える。わたしのものを受けて、あなたがたに告げるからである。」と仰せられました。このイエスの言葉から、聖霊は御子イエスが救いについてやり残された仕事を受け継いで、救いを完成させられる第二の救い主であるというのでは決してないことが分かります。
 御子イエスは地上の生涯と十字架の死と復活によって、人類の罪を贖い、救いを達成されました。その復活のイエスを父なる神は「主」とされました。主とは旧約聖書では神に対する名称です。それゆえ父なる神が御子イエスを主とされたことは、父なる神の持っておられる神の主権を、復活の主に委任されたことなのです。
 今や、主イエスは神として働いておられますので、復活の主イエスは名実ともに人類の救い主となられたのです。
 そのような救い主として、主イエスは救いの業がすべての人間に及ぶように働いておられるのです。それえ、今やわたしたちは復活の主に従い、救いの道を歩むことができます。
 しかしそのためには聖霊が与えられることが必要なのです。主イエスは教会に臨在し、クリスチャンを支配し、クリスチャンが行うべき事柄を御言葉によって命令されます。ところで主イエスの命令は単なる命令ではありません。主イエスはご自身で人類の救いを達成された主権者として、命令を与える前に、それを実行する命と自由をすでに与えられています。命令はこの事実に立脚しいているのです。それゆえ、命令を聞きクリスチャンが実行するならば、既に与えられている命と自由がクリスチャンの中に働くのです。
 聖霊はこのことをクリスチャンに知らせ、クリスチャンが主イエスの命令に応答し、自ら決断し、自ら喜んで実行するように促されます。実に聖霊の促しによって、クリスチャンが実行することにより、主イエスの救いが具体的にクリスチャンの中に生起し、クリスチャンは主イエスの性質に似る者へと聖化されて行くのです。
 同じことが別の視点からも言えます。主イエスは今やクリスチャンに命令されると同時に、主イエスご自身がその命令を実行するためにクリスチャンの中で働いておられます。そしてご自身の働きをクリスチャンの働きと結び合わせておられます。従ってクリスチャンは主の命令を実行することができるのです。また実行しなければならないのです。この真相を聖霊がクリスチャンに知らせ、クリスチャンの決断と実行を促されます。
 さらに、聖霊はクリスチャンにイエスの命令を実行する霊的生命を与えられます。しかし聖霊の与えられる霊的生命は主イエスの中にある復活の命です。また聖霊はクリスチャンの中に神の愛を働かせられます。しかし、その神の愛とは、神が主イエスによって人間を愛された贖罪愛です。
 このことを熟慮するとき、聖霊は主イエスの働きがクリスチャンの中で展開して行くために、主イエスに協力し、救いの働きの共有者なのです。それゆえ、聖霊の思いは主イエスの思いと同じであり、聖霊の性質は主イエスの性質と同じなのです。
 しかし、聖霊は主イエスとは異なる方です。聖霊は父なる神と同じく、人間の目には見えない方です。神の御子である主イエスだけが、神であると同時に人間でありますので、見ることのできる唯一の方です。勿論、復活の主イエスは現在、神として働いておられますから、人間の目には見えません。しかし、聖霊の働きによって、信仰者は主イエスの恵みと栄光に満たされたその姿、その御顔を見ることができるのです。
 実に聖霊によって、復活の主イエスと対面し、その御姿を見るときに、神の愛と働きの生ける現実を知るのです。そのことがわたしたちの救いの源泉です。



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