2015-08-30(Sun)

主よ、あなたは誰ですか 2015年8月30日の礼拝メッセージ

主よ、あなたは誰ですか
中山弘隆牧師

 見よ、わたしが、イスラエルの家とユダの家に恵みの約束を果たす日が来る、と主は言われる。その日、その時、わたしはダビデのために正義の若枝を生え出でさせる。彼は公平と正義をもってこの国を治める。その日には、ユダは救われ、エルサレムは安らかに人の住まう都となる。その名は、『主は我らの救い』と呼ばれるであろう。
エレミヤ書33章14~16節


 さて、サウロはなおも主の弟子たちを脅迫し、殺そうと意気込んで、大祭司のところへ行き、ダマスコの諸会堂あての手紙を求めた。それは、この道に従う者を見つけ出したら、男女を問わず縛り上げ、エルサレムに連行するためであった。ところが、サウロが旅をしてダマスコに近づいたとき、突然、天からの光が彼の周りを照らした。サウロは地に倒れ、「サウル、サウル、なぜ、わたしを迫害するのか」と呼びかける声を聞いた。「主よ、あなたはどなたですか」と言うと、答えがあった。「わたしは、あなたが迫害しているイエスである。起きて町に入れ。そうすれば、あなたのなすべきことが知らされる。」同行していた人たちは、声は聞こえても、だれの姿も見えないので、ものも言えず立っていた。サウロは地面から起き上がって、目を開けたが、何も見えなかった。人々は彼の手を引いてダマスコに連れて行った。サウロは三日間、目が見えず、食べも飲みもしなかった。
使徒言行録9章1~9節


(1)福音理解に関するパウロの位置
 使徒パウロは、キリスト教を世界宗教とする上で、使徒たちの中で一番大きな働きをしました。彼はパレスチナのアンティオキア教会から主イエス・キリストの福音を携えて、当時のローマ世界へ旅立ち、小アジアと呼ばれている地中海沿岸の地域とギリシャにキリスト教会を数多く設立し、世界における伝道の拠点を造りました。
 そのため三回の伝道旅行をし、陸地の旅、船の旅を繰り返し、様々な危険や迫害に遭遇し、それらに打ち勝って、福音を広めたのです。それは実に彼の内に復活のキリストが働かれたことによるのです。言い換えれば、聖霊の力によるのです。
 もちろん、パウロ一人で伝道したのではなく、多くの協力者たちが与えられたからです。しかし、彼はキリストに導かれるままに、未知の世界へ大胆に出かけて行きましたので、行く先々で多くの協力者たちが与えられました。
 キリスト教は、世界のすべての人間を救う神の目的のために、神ご自身が復活の主イエス・キリストを通して働いておられる宗教です。この事実が正に旧約聖書が約束している救いの成就です。それゆえキリスト教は旧約聖書の制約を越えた真実の宗教なのです。  
 その際、旧約聖書の宗教はキリスト教において成就したことを、神ご自身が使徒たちに啓示されました。そして福音宣教を通して復活の主イエスが働かれたことによって、証明されたのです。
 実にイエス・キリストにおける啓示は、神の究極的啓示であり、一回限りの啓示であり、それゆえ永遠に有効な啓示でありますので、新約聖書に保存されています。
 それゆえ、キリスト教の第一世紀の歴史は、世界的なキリスト教会の形成と同時に新約聖書が成立した一番重要な時期であります。その二つの領域でパウロは、他の使徒たちや多くの伝道者たちの中で、一番大きな役割を果たしたと言えます。
 しかし、パウロはペトロやヨハネのように最初からイエス・キリストの弟子ではなく、生前のキリストとは全く面識がなく、それどころかイエスに反対する熱心なユダヤ教徒でした。彼はローマの市民権をもったディアスポラと呼ばれる離散のユダヤ教徒であり、律法を勉強するためにエルサレムに来て、当時有名な律法学者であったラビ・ガマリエルに師事した新進気鋭の律法学者でした。
 彼はユダヤ教が旧約聖書の伝統を受け継ぐ正統的宗教であると確信する余り、キリスト教に反対し、キリスト教会を迫害する者たちの先頭に立っていました。そのようなパウロが主イエス・キリストの使徒となり、福音のために生涯を献げるようになったのは、実に復活の主イエスが彼に現れ、彼を福音の使徒に召されたからです。
 しかし、それだけではありません。キリスト教を地上から撲滅しようとしていた盲目的で罪深いパウロをことさら選んで、復活のキリストが出会ってくださいました。実にそれは罪人に対する神の計り知れない深い愛によるのであり、この神の選びと恵みに関しては、何人も自分の功績を主張する余地は全くないのです。
 それまで自己の正しさを確信していたパウロは全く打ち砕かれ、神の恵みの前にただひれ伏したのです。その瞬間、彼はキリストの救いの神髄を理解しました。
 彼がキリストの福音の使徒とされた出来事は、本日の聖書の箇所である使徒言行録とパウロ自身の手紙の中で説明されています。先ず、使徒言行録を取り上げます。
 パウロがダマスコにいるクリスチャンを捕らえ、エルサレムに連れてきて宗教裁判にかけるために、ダマスコの会堂に宛てた祭司長の委任状を携えて、ダマスコに向っていました。有名な一直線に伸びるダマスコ街道を急ぎ、ダマスコに近づいたとき、突然復活のキリストが現れたのです。

(2)サウロの回心
 「ところが、サウロが旅をしてダマスコに近づいたとき、突然、天からの光が彼の周りを照らした。サウロは地に倒れ、『サウル、サウル、なぜ、わたしを迫害するのか』と呼びかける声を聞いた。『主よ、あなたはどなたですか』と言うと、答えがあった。『わたしは、あなたが迫害しているイエスである。起きて町に入れ。そうすれば、あなたがなすべきことが知らされる。』」(使徒言行録9:3~6)
 パウロと言う名前は、ラテン語の名前で、「小さい者」と言う意味です。パウロはユダヤ人ですから、ヘブル語の名前も持っていましたが、それが「サウル」です。このサウルとはイスラエルの初代の王サウルの名に因んでつけられた名前です。しかし、パウロはクリスチャンになってから、サウルと言う名前は一度も用いていません。
 復活の主イエスの強烈な輝きを見て、パウロは地に倒れましたが、余りにも大きなショックを受けたのでしょう。聖なる神の前に出るとき、人は誰でも非常な恐れを感じるのです。それは自分の罪深さを知ると同時に、罪を赦され、神の恵みの栄光を受けるからです。 
 昔、預言者イザヤは、神の栄光を見て、「災いだ。わたしは滅ぼされる。わたしは汚れた唇の者。汚れた民の中に住む者。しかも、わたしの目は、王なる万軍の主を仰ぎ見た。」(イザヤ書6:5)と言っています。パウロも同様の恐れに襲われたに違いありません。
 ここで、パウロが発した「主よ」という言葉は、旧約聖書では「神」神に対する名称です。パウロが「主よ」と叫んだ瞬間に、彼は生ける真の神に直面したのです。しかし、それだけではありません。その聖なる神が、「なぜ、わたしを迫害するのか」と仰せられました。そのときパウロは気を失うほど狼狽しました。
 「主よ、あなたはどなたですか」と、すぐ問い返しました。主の答えは、「わたしは、あなたが迫害しているイエスである。」と言う驚くべき御言葉でした。
 ここで、パウロは完全に打ちのめされたのです。なぜなら、自分たちが信じ、仕えていた神は、主イエスによってご自分を完全に現される神であることを、ここで初めて知ったからです。
 このとき、彼は自分の罪深さを知り、同時に自分の義によって救いを獲得できると言うユダヤ教には、救いは絶対にないと徹底的に認識しました。
 さらに罪が赦されて人間が神との人格的交わりに入れられること、その交わりの中で新しく生きることを体験したのです。この測り知れない大きな恵みのすべてが、主イエスによって神が与えられたことを悟りました。パウロはキリストの恵みの大きさを「無尽蔵の富」(エフェソの信徒への手紙3:8口語訳聖書)と呼んでいます。 
 それゆえ、パウロの全生涯は、神の啓示であるキリストの恵みに固着し、感謝し、応える信仰の歩みでありました。

(3)福音の真理
 それではパウロに啓示された福音の内容は何でありましょうか。
 第一に、福音とは主イエス・キリストを通して、神ご自身がこの世界に介入し、罪人を救ってくださることです。パウロに与えられた神の啓示はイエス・キリストが「主」であると言うことです。
 ここで、パウロはユダヤ教のメシアを越えた救い主を理解したのです。ユダヤ教では、メシアは地上に神の国を樹立するという目的で、神の力を授けられた超自然的な存在です。しかし、そのメシアは決して神ではありません。パウロは復活の主イエスに出会ったとき、人間を罪から救う方は、ユダヤ教のメシアではなく、主イエスであることを知りました。この点でパウロは復活のイエス・キリストとの出会いを神の啓示と呼んでいます。ガラテヤの信徒への手紙で次にように言っています。
 「わたしを母の胎内にあるときから選び分け、恵みによって召し出してくださった神が、御子をわたしに示して、その福音を異邦人に告げ知らせるようにされた。」(ガラテヤ1:15~16)
 ここで、パウロが復活のイエスを見たのは、神がイエスをパウロに啓示されたのであると言っています。復活のイエスの身体は、地上の人生におけるイエスの肉体ではなく、霊的身体であり、人間の目には見えません。それゆえ、神が人間に聖霊を与え、復活のイエスの霊的身体を見させられたのです。また、この神の啓示により、復活のイエスは神であり、御子であることが啓示されました。さらに、神がイエスの十字架の死と復活により、人類のために実現された救いの内容も啓示されたのです。
 また、パウロはこの時の出来事をコリントの信徒への第二の手紙で、次のように証言しています。
 「『闇から光が輝き出よ』と仰せられた神は、わたしの心の内に輝いて、イエス・キリストの御顔に輝く神の栄光を悟る光を与えて下さいました。」(コリント二、4:5)
 主イエス・キリストによって、神が実現してくださった人類の救いに関して、パウロは全く無知でありましたが、それは彼の心が暗闇に閉ざされていたからです。今や心に神の啓示の光を受け、神の救いの真理を知りました。「救いの真理」とはイエス・キリストの「生ける現実そのもの」です。
 それゆえ救いの栄光がイエス・キリストの御顔に輝いていることを悟ったと、パウロは証言しています。
 ところで、この啓示の光とは聖霊の働きです。そして聖霊は父なる神と復活のキリスが与えてくださるのです。なぜならば、聖霊は父なる神と御子イエス・キリストの両方から出るからです。
 第二に、イエス・キリストを信じる信仰は、真の神を信じる信仰であります。それゆえ、その信仰は福音の啓示と共にキリスト教会に啓示されました。つまり聖霊の働きとしての信仰です。
 それに対してユダヤ教徒も唯一の真の神を信じていましたが、彼らには聖霊が与えられていなかったので、彼らの信仰は未だ真の信仰でなかったのです。但し、預言者たち、特に神の言葉を記述した預言者たちには聖霊が与えられていましたが、イスラエルの民には与えられていなかったのです。しかし、旧約聖書では聖霊の授与について約束されており、神の救いが完成する終わりの時に聖霊が与えられるとの約束です。今やキリスト教会に聖霊が与えられましたので、キリスト教会の信仰は旧約聖書の信仰の成就です。
 なぜならば、イエス・キリストの啓示によって、真の礼拝が可能となり、真の礼拝を通して、神の意思を知り、神の命令に従う霊的命が与えられ、神に従う自由が与えられたからです。
 それゆえ、ユダヤ教のこの世的な信仰と生活を、キリスト教は霊的な礼拝と生活へ根本的に変革したので、モーセが定めた様々な律法はその重要な部分が廃止されました。
 第一は神殿の礼拝の仕方と祭司制度です。これはモーセの律法の根幹ですが、真の礼拝が実現したので廃止されました。キリスト教は主イエス・キリストの十字架と復活の言葉を通して、見える言葉の聖餐を通して、真の神を礼拝することが可能となりました。
 第二は食事規定、食べられる清い動物と食べられない汚れた動物の区別、その他さまざまな清めの儀式がありましたが、それらはキリストを信じる者に与えられた自由によって廃止されたのです。これらのモーセの律法は最早その効力を失ったのです。
 第三は、道徳的な律法と、社会倫理に関する律法です。この律法はクリスチャンに与えられた自由によって、本当の意味で実行可能となり、それゆえにキリスト教の唯一の律法となりました。それは主イエス・キリストの律法と呼ばれています。

(4)キリストの命令の意味
 最後に、キリストの命令はキリストの十字架の死と復活により、キリストの中に創造され、保存されている万人の救いに基づく命令であります。それゆえ、キリストの命令は実行可能なのです。
 つまりキリストの命令を実行することによって、キリストの中に保存されているわたしたちの救いが、生活の中で具体化するのです。
 「なぜなら、わたしたちは神によって創造されたものであり、しかも、神が前もって準備してくださった善い業のために、キリスト・イエスにおいて造られたからです。わたしたちは、その善い業を行なって歩むのです。」(エフェソの信徒への手紙2:10)
 但し、それはクリスチャンがキリストの復活の命に生きることでありますので、確かに地上の生活で体験できますが、その本質は永遠の神の国に属しており、その先取りとして、生きる人生なのです。



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