2015-06-14(Sun)

摂理の御手によって 2015年6月14日の礼拝メッセージ

摂理の御手によって
中山弘隆牧師

 主は月を造って季節を定められた。太陽は沈む時を知っている。あなたが闇を置かれると夜になり、森の獣は皆、忍び出てくる。若獅子は餌食を求めてほえ、神に食べ物を求める。太陽が輝き昇ると彼らは帰って行き、それぞれのねぐらにうずくまる。人は仕事に出かけ、夕べになるまで働く。主よ、御業はいかにおびただしいことか。あなたはすべてを知恵によって成し遂げられた。地はお造りになったものに満ちている。同じように、海も大きく豊かで、その中を動きまわる大小の生き物は数知れない。舟がそこを行き交い、お造りになったレビヤタンもそこに戯れる。彼らはすべて、あなたに望みをおき、ときに応じて食べ物をくださるのを待っている。あなたがお与えになるものを彼らは集め、御手を開かれれば彼らは良い物に満ち足りる。御顔を隠されれば彼らは恐れ、息吹を取り上げられれば彼らは息絶え、元の塵に返る。あなたは御自分の息を送って彼らを創造し、地の面を新たにされる。
詩編104篇19~30節


 今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる。まして、あなたがたにはなおさらのことではないか、信仰の薄い者たちよ。だから、『何を食べようか』『何を飲もうか』『何を着ようか』と言って、思い悩むな。それはみな、異邦人が切に求めているものだ。あなたがたの天の父は、これらのものがみなあなたがたに必要なことをご存じである。何よりもまず、神の国と神の義を求めなさい。そうすれば、これらのものはみな加えて与えられる。だから、明日のことまで思い悩むな。明日のことは明日自らが思い悩む。その日の苦労は、その日だけで十分である。」
マタイによる福音書6章30~34節


(1)神によって創造された世界
 詩編104篇は詩編の中でも最も素晴らしい賛美の歌です。
 「わたしの魂よ、主をたたえよ。」で始まり、「わたしの魂よ、主をたたえよ。ハレルヤ。」で終わっています。
 この詩の主題は、神によって創造された世界の中に現された神の栄光と知恵であります。
 人間に与えられた最高の幸いは、神の恵みを知って神を賛美することです。そしてそのような賛美は、ただ口で神に栄光を帰すだけでなく、自分の生活と行為を通して神に感謝し、神を喜び、崇めることであります。
 この詩人は宇宙万物を創造し、人間が生きていく上で必要な地上のすべての環境を保持し、わたしたちの生活を成り立たせておられることの中に、神の大きな働きを生き生きと感じ取っています。
 写真家の白川義員さんがある対談の中で、感動の時を持つことが人間には非常に大切であると言っておられました。白川さんが写真家になられた契機は、ある新聞社の取材旅行をしておられた時、ヨーロッパ・アルプスのマッターホルンが日の出の太陽に照らされて真っ赤に輝き、頂上あたりのレンズ雲が黄金色に染まって、湖の水面に逆三角形の姿で映ったのを見られたことです。
 それは一瞬の光景でしたが、正に彼岸の世界のように思え、あまりの美しさに写真を撮ることさえ忘れておられました。その体験を境にして人生観がすっかり変わり、写真家になられたとのことです。 
 また対談の中で、例えばアメリカのデス・バレーの砂丘では、太陽と風が砂を24時間動かし続けています。そこに生じる波紋はどの一瞬をとって見ても完璧で精緻を極めています。そのような自然の営みを見ていると、その背後にある偉大な精神の存在を感じると言っておられました。
 この詩人も宇宙と地球の生成、そして自然の中の生命の誕生について、そこに働いている聖なる神の意志を実に生き生きと感知しています。
 そこには神の姿は見えません。しかも自然は人間の言葉を語りません。しかしそこに存在している自然は実にスケールの大きな目的が働いていることを示しています。万物に調和をもたらし、全体で一つの目的を実現させる深遠で壮大な意志の働きを示しています。正にそれは聖なる人格である生ける神の御心です。
 「主は地をその基の上に据えられた。地は世々限りなく、揺らぐことがない。深淵は衣となって地を覆い、水は山々の上にとどまっていたが、あなたが叱咤されると散っていき、とどろく御声に驚いて逃げ去った。水は山々を越え、谷を下り、あなたが彼らのために設けられたところに向かった。あなたは境を置き、水に越えることを禁じ、再び地を覆うことを禁じられた。」(104:5~9)
 これは人間の住む地球がどのようにして誕生したかを説明している古代の世界像に基づいています。創世記の1:9~10では次のように説明しています。「神は言われた。『天の下の水は一つの所に集まれ。乾いたところが現れよ。』そのようになった。神は乾いたところを地と呼び、水の集まった所を海と呼ばれた。神はこれを見て、良しとされた。」
 古代人は海を恐れていましたが、「海の水」はすべてのものを破壊する力の象徴と見られていたからです。ノアの時代に人類の罪が世界の秩序を乱すようになったのを見て、神は審判を下され大洪水が起こり、世界のすべてのものが破壊されました。
 それに対して、現代の宇宙観は人間の住む環境として神様が創造された地球の掛け替えのない重要さを再認識するようになりました。
 宇宙飛行士たちが、月面に立って地球を見たとき、生命のオワシスである地球が、暗い宇宙空間の中で、青いガラス球のようにひときわ美しく輝いている不思議さに感動しました。それは広大無辺の宇宙空間に一枚の紙のように見える非常に薄い大気圏だけに、生命が存在していることが、一層神秘なことと思えたからです。どうしてそこに生命が誕生するようになったのだろうかと考えますと、当然無数の原因が働いてそうなったのでありましょうから、それは人間の理解を遥かに越えています。

 次にこの詩人は水を「生命の泉」として重要視しています。
 「主は泉を湧きあがらせて川とし、山々の間を流れさせられた。野の獣はその水を飲み、野ロバの渇きも潤される。水のほとりに空の鳥は住み着き、草木の中から声をあげる。」(104:10~12)
 ここで詩人は里山が人間の住む環境として与えられていることを洞察し、その環境を守り、生命がそこで調和を保って存続できるようにすることが神から与えられた人間の使命であることに注意を喚起しています。

(2)神様の摂理に基づく人間の働き
 さらに人間の労働がどのように可能となり、維持されるかについて考察しています。
 「主は天上の宮から山々に水を注ぎ、御業の実りをもって地を満たされる。家畜のために牧草を茂らせ、地から糧を引き出そうと働く人間のために、様々な草木を生えさせられる。ぶどう酒は人の心を喜ばせ、油は顔を輝かせ、パンは人の心を支える。」(104:13~15)
 人間社会を築き、文化を生み出す源は、人間の労働であります。しかし、その労働は神の恵みによってだけ可能です。しかもそのような営みは神が備えられた自然環境の中で、初めて可能となります。もし今日栽培されている稲や麦の祖先にあたる植物がこの自然界に自生していなかったならば、人間は稲や麦を手に入れることはなかったでありましょう。人間のできることは自然界にあった食物の品種を改良することです。今後どれほどバイオテクノロジーが進歩しましても、遺伝因子の組み換えでなく、人工的な遺伝因子によって全く新しい食料をつくりだすことはできません。
 しかし、そもそも人間には他の動物とは異なり、働く能力を与えられています。人間の頭と手と足とを使って、植物を栽培し、それを収穫して食べることができます。このように労働することは、人間に与えられた神様の大きな恵みであります。
 それゆえ神様から与えられている自然環境を守り、人間の知恵を働かせて、隣人と共に共存する社会を形成することが重要です。
 神様が人間の活動と社会形成に必要な自然環境を何十億年と言う時間の経過を通して整えてくださった神の偉大な目的と知恵を思うときに、人間が自分たちの利益を最優先させる極めて利己的で、しかも短絡的な思考によって、自然環境を破壊し、自然の大きな調和を乱していることは非常に深刻な問題です。
 さらに、自分たちの世代の経済発展だけを最優先させる思考回路は極めて対症療法に過ぎず、天然資源の枯渇の原因となります。資源はいつまでも存在するわけではありません。後世の人間に資源を残して置くことも人類社会が存続するために不可欠です。
 経済が発展し、科学技術が進歩し、情報手段も進歩し、投資や株の市場で瞬間的に大きな取引が行われている金融界のグローバル化は、非常に大きな問題を孕んでいます。人間が果てしなく利益を追求することは人間社会の存続を不可能にする危険性を孕んでいます。

(3)人間世界の主権者としての神
 神様は人間にこの世界を管理する責任を与えられましたが、この世界を人間の知恵で管理することを委ねられたのでは決してありません。神様は人類の歴史の唯一の支配者であり、人間社会の恵み深い主権者であります。
 それゆえ、神様は旧約聖書の預言者たちを通して、人間社会と国家に対する神の意志を語り、諸国家が神の命令を実行することを要求されました。
 神は万国の預言者エレミヤを通して、次のように仰せられました。

 「知恵ある者は、その知恵を誇るな。力ある者は、その力を誇るな。富みある者は、その富を誇るな。むしろ、誇る者は、このことを誇るがよい。目覚めてわたしを知ることを。わたしこそ主。この地に慈しみと正義と恵みの業を行う事、この事をわたしは喜ぶ、と主は言われる。」(エレミヤ書9:22~23)
 また、預言者ミカも同じ内容の神の言葉を語っています。
 「人よ、何が善であり、主が何をお前に求めておられるかは、お前に告げられている。正義を行ない、慈しみを愛し、へりくだって神と共に歩むこと、これである。」(ミカ書6:8)
 要するに神が人間とその国家、社会に求められる正義、公正、憐みを実行することこそ肝要であり、神はそうすることを命じておられます。この神の命令に反した人類の歴史、諸国家、諸社会に対して、神は主権者として厳しい審判を下されるのです。
 そのために、これまで多くの国家が滅び、多くの人が犠牲になりました。しかし、神の審判により、人類が滅んでしまったのではなく、神の裁きはまた神の救いであり、人類は存続し、新しい国家と社会が、古い国家と社会に入れ替わったのです。これが神の主権による摂理の働きです。
 要するに、今日のグローバルな世界に対して、神は次の点を特に要求しておられます。
 一つは、社会の中で「貧富の格差」が是正され、一般大衆が希望の持てる社会を形成することです。
 一つは、他国がどのような政治体制、思想、文化、民族であってもその主権を認め、互いに共存することによって、世界の平和を維持することです。

(4)神の摂理と信仰者
 神は以上のような遠大な目的と、人間の知恵を越えた神の知恵により、摂理の御手をもって、世界中の人々を支配し、導いておられるのですから、人間にすべてのことが分かると言うのではありません。むしろ、人間には理解できない点が多いのです。戦争、困難、災害、疫病など様々な危機に直面します。
 しかしそれでも神の支配が為されているので、恵み深い神の摂理により、その都度、生きる道が開かれます。それゆえ、クリスチャンは常に神を信じ、神に祈ることが必要です。恵み深い神は信仰者の祈りを聞かれるのです。ここに信仰者の幸いがあります。
 勿論、社会的な災害は福島の原発事故のように多くの無実な人々の犠牲を余儀なくします。そのような社会的な人災の遠因は、国家の政治、経済でありますので、また国民の責任です。従いまして、直接にはあまり関係のない庶民を巻き添いにするからです。
 ここに人間の罪の連帯性と言う大きな問題が潜んでいます。
 しかし、クリスチャンは祈るならば神様が危機の中で最善の道を開き、その試練に耐える力を与えて下さいます。
 旧約の信仰者はそのようにして幾多の試練を乗り越えることができました。例えば詩編107篇は、このような個人的な救いの経験を通して、恵み深い神を賛美しています。
 ギリシャ帝国が支配するエキュメニカルな世界になりますと、元々農業を営んでいたユダヤ人も大きな船を所有し、商業を営む者も出て来ました。地中海の真ん中で、大きな嵐が発生し船が沈没しそうになったときのことです。
 「苦難の中から主に助けを求めて叫ぶと、主は彼らを苦しみから導き出された。主は嵐に働きかけて沈黙させられたので、波は治まった。彼らは波が静まったので喜び祝い、望みの港に導かれて行った。主に感謝せよ。主は慈しみ深く、人の子らに驚くべき御業を成し遂げられる。」(詩編107篇28~31)
 最後に今や復活の主イエスは世界の主として、摂理の御手をもってすべての人を支配し、導いておられます。この事はコロサイの信徒への手紙1:13~17で告白されています。
 「御父は、わたしたちを闇の力から救い出して、その愛する御子の支配下に移してくださいました。わたしたちは、この御子によって、贖い、すなわち罪の赦しを得ているのです。」(1:13~14)
 この御言葉の要旨は、神の国の支配者である復活の主イエス・キリストの支配下に、わたしたちクリスチャンは置かれていると言うことです。しかも、主イエス・キリストは天地万物の創造者であり、それゆえ支配者なのです。この点は、1:16節で告白されています。
 「天にあるものも地にあるものも、見えるものも見えないものも、王座も主権も、支配も権威も、万物は御子において造られたからです。つまり、万物は御子によって、御子のために造られました。」
 旧約聖書においては、まだ神の究極目標が啓示されていませんでしたので、摂理の面で不明な点が残されていましたが、今や主イエス・キリストの贖いにより、摂理の究極目標が啓示されました。
 それは、主イエス・キリストが神の国の支配者であり、同時にこの世界の支配者であるゆえに、摂理の御手をもってすべての者を神の救いへと導いてくださることです。言い換えれば、神の摂理は人間を救おうと欲せられる神の目的を遂行するために働いています。
それゆえに、クリスチャンは神の恵みの主権を自分たちの全存在をもって心から賛美する者たちです。



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